【農業教育】農家インターンシップ~オリエンと初日(7/22)

歌が上手ければ歌手になれるでしょうか。ステージに立つ恐怖、高みを目指し続ける覚悟、不特定多数からの無責任な批評、チャンスを得るための理不尽。そういったことすべてを乗り越えたり、飲み込んだりしてやっとプロとして生きていけるのです。プロとして生きていくのにあたって、技術は必要条件に過ぎず、十分条件ではありません。そして、プロとして生きていく喜びと苦痛は、しばしばプロにしかわからないものです。猪名川甲英では、野菜の栽培をはじめとして農業に関する様々を学んでいますが、そこから関心を持ったすべての子供が農家としてやっていくことができるでしょうか。学んだ技術と得た興味関心を、自分のキャリアにするかどうかは、はたから見ているだけではなく、いちど入り込んでみなければ判断できないかもしれません。
「農家というキャリアに関心を持った子供たちを試しに働かせてくれないか。」このお願いに、猪名川町の二人の篤農家が応えてくれました。北山農園の北山純也さんなかなかファームの中野耕太郎さんです。夏休みに入ったばかりの月曜から金曜までの5日間、丁稚奉公として働かせてもらうことになりました。インターンシップです。今回のインターンシップでは、キャリアとして就農を選択肢に考えている希望者だけを「部下・従業員」という立場で面倒を見てもらうことになります。

インターンシップに先んじて学校に北山さんと中野さんが自ら学校に来てインターンシップへの参加を呼びかけてくれました。「やってみて向いていると思うもよし向いていないと思うもよし。本気で取り組んでくれれば自分が農家になるべきかどうか自分で納得できる」「人生は一度きりなんだから自分で決めて生きよう。自分で決めて生きるならその楽しさとそのしんどさはセットだ」と彼らは子供たちに熱く語ってくれました。それから約一月、2年生の2人と3年生の1人がインターンシップに参加することになりました。

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初日の7/22(月)の猪名川はあいにくの天気でした。
中野さんの菜園は、猪名川町の奥の槻並にあります。集合は早朝の6時。夏の昼間は暑いので、中野さんは早朝と夕方に作業をするようにしているそうです。中野さんのところにお世話になるのは3年生の與北君。卒業後いったん他の仕事をしたあとで最終的には就農したいそうです。
最初の仕事は枝豆の袋詰め。収穫した枝豆の葉をちぎって袋に詰めていきます。食べてみるまで味はわからないのだから、キレイに包装しないと買ってもらえないといいます。
枝豆の袋詰は1時間弱で終了。1時間くらいで作業を変えるそうです。疲労は飽きからくるそうで、同じ作業を続けすぎないようにしているそうです。ただ、雨がひどくなってきたのでどうしたものか…
「雨がひどいときはどうするんですか」
「うーん、休み(笑)」
ただ、せっかく與北くんも来てくれているし、ということで道の駅と生協に納品に行き、そのあとぶどう園に行きました。中野さんのメインの作物はぶどうです。ぶどう園でのレクが終わって菜園に帰ったころには雨もゆるくなっていたので、ピーマンの収穫をすることになりました。

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北山さんの菜園は猪名川町の広根にあります。北山農園には昨年度冬にもイチゴの作業の実習で全校生徒がお世話になっています。今回、北山さんのところにお世話になるのは2年生の竹内君と森君。彼らも就農を考えています。北山さんのところではナスのお世話をすることになりました。
「学校の農園なら”でっけぇ!”と騒ぐような太ったキレイなナスがたくさん!」
と、プロの栽培にさっそく感動です。
古い葉っぱや傷んだナスをちぎっていきます。できるだけ薬を使わずに作るためには、ウドンコ病などの病気になりやすい古い葉っぱを摘んでいかなくてはいけません。また、葉っぱを適度に間引いたほうが陽もはいるし栄養も取られないしなのでよいそうです。ただ、実のすぐ上の葉っぱはおいておかないといけません。すぐ上の葉っぱが実の栄養を生むからです。ここらへんは学校でも習ったことです。
「同じところに2つ花があったら摘んだほうがいいですね?」コレも学校で習ったこと。学校で学んだことがじっさいの農園でもおこなわれていると知って学びは深まります。そして農園でのことを思い出しながら学校で学ぶことでさらに学びは深まります。座学などの学校の学びと、プロの現場での学びを循環させることこそが、インターンシップの価値だと言えます。
「そうやね!小さいほうの花は摘んでもらおうか。でも、さいきんyoutubeで見たんやけど両方残すやりかたもあるらしいんや」
真剣にナスのお手入れをする彼らはこうもいいました。
「学校を代表してきてるんだから真剣に取り組まないと」

憧れのプロの農家さんとの仕事はきょう始まったばかり。

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