【地域連携】阿古谷地区の秋祭りで獅子舞を披露(10/13)
(前編:60年ぶりに農村の獅子舞を復活させた先輩と、それに憧れて入学してきた後輩と(9/21))
昨年の秋祭りで先輩たち(現2,3年生)が、60年途絶えていた地域の獅子舞を復活させて秋祭りで披露したことに感銘を受けて入学した的場達也くんたち1年生は、昨年に続いて秋祭りで獅子舞を披露すべく学校で練習を重ねました。でも、まだ彼らはホンモノの獅子頭すら見たことはありません。去年のビデオを見ながら先輩と先生に指導を受け、バケツを獅子頭の代わりにして練習をしています。昨年の”獅子舞復活”に際しては、地域のみなさんが自治会館で夜まで指導をしてくれましたが、高齢のみなさんにとってはけっこうな負担でもあったのも事実です。そのため、今年の”復活第二弾”については「あまりサポートは期待しないでほしい」と言われていました。
しかし、熱心に練習する子供たちのことを聞いた自治会長さんは、「練習のサポートをするので自治会館に練習しにおいで」といってくれました。それに、獅子舞はだいじな秋祭りの冒頭を飾る神事ですので、中途半端なものになってしまうならそれは子供たちだけの問題にはとどまりません。
いよいよ10月に入って自治会館で練習をさせてもらえるようになりました。放課後学校でいつもどおり練習してから自治会館に移動し、そこで実物の獅子頭と胴幕を使って自治会長さんに教えてもらうことになりました。
子供たちは初めとても緊張していました。自分たちでは一所懸命やっているけれど、地域の人たちに「おまえたちには任せられない」と言われたらどうしよう。
昨年のビデオを自治会長さん何度も見返しながら、動きについて丁寧にアドバイスが入ります。去年のメンバーだった3年生も、いっしょに自治会館に来て稽古の手伝いをしてくれます。自治会長だけだった”先生”も回を重ねるごとにだんだん人が増えていき、けっきょくは昨年と同様に地域のみなさんで稽古をつけてくれるようになりました。
自治会館で練習するようになってから、見違えるようにじょうずになっていきました。一本舞うごとに、汗びっしょりの子供たちに、地域のみなさんから細かい指摘や修正が入ります。でも、「これだけできれば上出来や」「たいしたもんやで」と目を細めて褒めてくれます。
せっかくなのでと、体操服ではなく足袋や衣装も用意することになり、いよいよ本番に向けて仕上がってきました。
雨が振って翌日に順延になりましたが、祭の本番はすばらしい秋空に恵まれました。生徒たちは早くから学校に集まって練習をしていますが、とてもリラックスしたようすで、ぎゃくにオトナたちのほうが「イマドキの子供はすごいな…」と感心するほどです。
獅子舞を披露する神社の隣の自治会館の前の広場には、畳が敷かれて紅白の幕が張られています。法被を着た地域の人たちもだんだん集まってきます。もちろんその中には、晩に何度も自治会館に出向いて稽古に協力してくれた地域の人たちもいらっしゃいます。
子供たちもいよいよ顔が引き締まります。
自治会長の仕切りで秋祭りが始まります。宮司さんにお祓いをしてもらって、いよいよ獅子舞が始まりました。稽古に協力してくれた人たちは、まるで自分ごとのような緊張した面持ちでした。
これまで練習でやってきたなかでも、いちばんの獅子舞でした。最後に見栄を切ると、集まった人たちから大きな拍手が沸き起こりました。汗びっしょりの的場くんは、やりきったという誇らしい笑顔で胴幕から顔を出しました。見に来てくれたお母さんとお祖母ちゃんにウインクをしながら(やったぜ)とサムアップです。
舞が終わったら、地域のみなさんが子供たちのところに来て「よくやった」「見事だった」と口々に笑顔で褒めてくれて、阿古谷の米のおにぎりが振る舞われました。
獅子舞はただの”演し物”ではなく、阿古谷の神聖な神事です。去年、地域の協力もあって、”よそ者”であったはずの猪名川甲英の子供たちが村の神事を復活させることができ、今年はそれを引き継いで下級生たちが成功させました。そこで、いよいよ地域に対して、”よそ者”ではなく“村の一員”として猪名川甲英が獅子舞の伝承に責任を持ちたいということを持ちかけました。“たまたま”榎本くんたちが復活させ、”たまたま”それに憧れた的場くんたちが2回めを演じたのではなく、これからも毎年の秋祭りで猪名川甲英の生徒が獅子舞を舞いたい、そのために、来年もそれ以降も生徒の誰かが獅子舞を舞うように学校として獅子舞を伝承していきたい、と。
この提案は、自治会長によって自治会で諮っていただき、晴れてこれからも猪名川甲英が獅子舞を伝承していくことについて賛同が得られました。
今度は11月3日の第52回いーなーいながわまつりで、阿古谷の獅子舞を披露させてもらうことになりました(総合公園屋外ステージ・10:45~)。的場くんたちはさらに勇壮な獅子舞を披露すべく練習に励んでいます。
そしてもちろん、今度は的場くんたちが教える側となって猪名川甲英で阿古谷の獅子舞を伝承していくことになります。