【地域連携】阿古谷地区の住民運動会を学校で開催(10/19)

核家族化が進み、おじいちゃんおばあちゃんも親戚のおじさんおばさんも、”遠くに住む優しい人”に過ぎなくなってしまいました。また、大人の側からも、近所に住む子供や知り合いの子供に気軽に声をかけにくい時代になりました。だんだん、子供の知る大人は”親”と”先生”だけになりつつあります。しかし、ひとたび学校から社会に出てしまえば、様々な局面で様々な大人と生活することになります。”親”や”先生”とは、モノの言いかたも接しかたも常識も違う大人たちと関わることになれていないと、社会に出てからのコミュニュケーションに苦労したりストレスを感じたりすることにもなりかねません。

猪名川甲英は猪名川町の阿古谷の農村にあった阿古谷小学校の廃校跡活用でできた学校です。阿古谷小学校のときから、学校の運動場で開催されてきた住民運動会は、猪名川甲英になってからも同じ運動場で開催され続けています。

当日の運営に参加するのは、スポーツ部の子供たちを中心とするボランティアです。教員だけでなく、地域のスポーツ振興委員のみなさんと協力して運動会の運営をおこなうことになります。機材の準備や会場の設営から、放送に至るまで、子供たちの活躍する場面はたくさんあります。

さて、当日は残念ながらアヤシイお天気…。それを見越して運動場だけではなく体育館に振り替えて実施することも想定して前日の準備はしていました。天気予報を見ても、あとで降ってくる予報になっています。しかし、早朝集まった地域のみなさんで話し合った結果「いま降っていないんだから外でやろうぜ」ということに。このあたりの大らかな運営も地域の運営ならではです。

地域のスポーツ推進委員さんから子供たちに指示が飛びます。「おぅ、それ、こっち持って来い!」「ちゃんとうまいことバラけささんかい!」
それこそ”親”や”先生”とはまったく違うコミュニケーションですが、いちがいに”乱暴”とも言えません。この人はべつに子供たちのことを見下しているわけでもなければ、動きが悪いと憤っているわけではありません。むしろ、いっしょに運動会を運営している学校と子供たちに、とてもしたしみの気持ちを持ってくれています。「怒鳴っている」ではなく、たんに「ふつうに指示を出している」のです。
表面的なパワハラや言葉遣いにばかり過敏にってしまったいまの社会では、”親”や”先生”のコミュニケーションが必要以上にデリケートになりがちで、社会に出て”ふつうのコミュニケーション”に面食らいかねません。こうした地域との協働によって、いろんな世代の人たちと接することは、子供たちの成長にとってとても重要なことでもあります。

本部放送も、体操や競技の見本も甲英の子供が務めます。甲英のスタッフたちは、きびきびと動いて運動会の裏方の役割をきっちり果たしていきます。
それに加えて、競技にももちろん参加します。少子高齢化している農村ではだんだん参加者も少なくなりつつあります。なかでも元気な若者の参加は少ないので、甲英の子供たちの参加は運動会じたいを盛り上げるだいじな要素でもあります。
阿古谷地区の「上阿古谷」「下阿古谷」「民田」「荘苑」の4地区に分かれて競技をしますが、どの競技でも入場門から「うちの地区はあと○人足りへん!誰か助っ人来てくれ~」と声がかかります。スタッフを務めていた子供たちも顔を見合わせて、「ちょっとこのシゴト代わってくれ、オレいってくる!」と参加します。老若男女混合チームに甲英の子供も混じって、楽しく盛り上がります。

最後、(雨男の)校長先生の挨拶が始まるやいなや雨が降り出しましたが、なんとか最後まで運動場でやりきることができました。

どこでも地域のイベントは、結びつきの希薄化に伴って廃れつつあります。運営をするボランティアの負担が重いのも一因です。しかし、農村では、田園の水利/防災のための治山治水/高齢者の見守りなど、地域の結びつきが新興住宅地以上に重要なので、お祭りやイベントごとで”顔の見える関係”をつくっておくことはとてもたいせつです。学校のある阿古谷の村でも、少子高齢化していますが、地域の結びつきを希薄にしないためにイベントを大切にしています。

子供たちには、阿古谷の農村の一員としての猪名川甲英で過ごすことによって、地域社会がどんな人たちによって構成されているのかを学び、これからの地域社会を担う一員になっていく気付きを得てもらいたいと思っています。

 

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